物語を楽しみながら、自然な英語表現を学んでみませんか?
このブログでは、短編小説を通して、ネイティブが使うリアルな英語をやさしく解説しています。
キャラ紹介




Chapter 2 – Part 1: To Mia’s House


The car moved slowly along the quiet road.
車は静かな道をゆっくりと進んでいた。
along を、たとえば on や through、down に変えたらどうなるの?意味はどう違うの?
alongは「道に沿って」という意味で、車が道の形に合わせてゆっくり進んでいる感じです。
onは「道の上にいる」という意味で、動いている場所を言うだけで、道に沿って動いている感じはあまり伝わりません。
throughは「道を通り抜ける」という意味で、道の始まりから終わりまで抜けていくイメージです。
downは「道の先に向かってまっすぐ進む」という意味で、道を下る感じやまっすぐ進む感じが強いです。
Yuki sat in the back seat. She looked out the window.
ユキは後ろの席に座り、窓の外を見ていた。
The sky was big and blue. There were many trees and small houses.
空は大きくて青かった。たくさんの木と小さな家が見えた。
“So this is Canada…” she thought. “It really feels like a dream.”
「ここはカナダか…」と彼女は思った。「まるで夢みたい」
Mia turned her head. “Are you okay back there?”
ミアが振り返り言った。「後ろは大丈夫?」
Yuki nodded. “Yes, thank you.”
ユキはうなずいた。「はい、ありがとう」
Mia’s father was driving. He smiled in the mirror.
ミアの父親が運転していた。彼は鏡に向かって微笑んだ。
“I’m Mr. Calviera” he said. “Nice to meet you.”
「カルヴィエラです。はじめまして」と彼は言った。
“Nice to meet you, too” Yuki replied.
「はじめまして」とユキも答えた。
After driving for a while, they stopped in front of a house.
しばらく走った後、家の前で車を止めた。
It was a two-story house with red bricks and white windows.
赤いレンガと白い窓の、二階建ての家だった。


Mia opened the front door.
ミアは玄関のドアを開けた。
“Come in. This is my home.”
「どうぞ入って。ここが私の家よ」
Yuki took a small step inside.
ユキは小さく一歩踏み入れた。
takeのイメージは?なぜ「行動を始める」とか「休憩を取る」とかいろんな意味で使えるの?start とどう違うの?
take は「自分で何かをつかんで、自分の意志で動き出す」というイメージが基本にあります。
一方、start は「ただ単に何かを始める」という感じで、意志や選択の意味はそこまで強くありません。
また、「休憩を取る」と相手にすすめられたときも、最終的には自分が決めて行動するので take が使えます。
It smelled warm and clean.
暖かくて清潔なにおいがした。
Mia’s mother came from the hallway and smiled warmly.
廊下からミアの母親が現れ、温かく微笑んだ。
“Welcome home. Oh? Who is this?”
「おかえりなさい。あら、この子は誰?」と母親が言った。
Mia looked at Yuki and explained.
ミアはユキの方を向き説明した。
“This is Yuki. I found her on the beach. She looked troubled, so I brought her here.”
「ユキって子よ。ビーチで見かけて、困っているようだったから連れてきたの」
look って「見る」って意味だと思ってたけど、上記の2つの文では使い方が違うよね?なんで同じ look がそんなふうに使われるの?
look は、「どこかに視線を向ける」という動作の意味と「~のように見える」という状態動詞の意味の両方を表すことができる言葉です。
見分け方はとてもシンプルで、後ろに「場所(out the window, at me)」が来ていれば「見る動作」、後ろに「形容詞(troubled, tired, happy)」が来ていれば「〜に見える印象」を表しています。
Her mother looked surprised but kind.
母親は驚いた様子だったが、優しかった。
“I see. You must be tired, Yuki. Would you like to stay in our guest room tonight?”
「そうなのね。ユキ、疲れているでしょう?今夜はゲストルームに泊まる?」
Yuki nodded slowly.
ユキはゆっくりとうなずいた。
“Thank you… That would help a lot.”
「ありがとう…それは助かります」
Mia showed Yuki the guest room.
ミアはユキにゲストルームを案内した。
It was small but clean and comfortable.
小さいけれど、きれいで居心地がよかった。
Yuki felt a little safer here.
ユキはここにいると少し安心した。
As the day went on, Yuki looked out the window.
日がだんだんと進む中、ユキは窓の外を見た。
The sky was bright blue with soft clouds.
空は明るい青色で、やわらかな雲が浮かんでいた。
She thought, Maybe this new place is not so bad after all.
彼女は思った。新しい場所も、案外悪くないかもしれない、と。
次回: カナダでのはじめての夜
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
次回、ユキはカナダではじめての夜を過ごします。
どうぞお楽しみに